週刊マルチボール

ピンボール関係のメモです

Jersey Jack Pinball

毎週水曜日に「週刊マルチボール」を発信していくことにします。

 

今回はピンボールブランドの紹介。

2011年に設立された「ジャージー・ジャック・ピンボール」です。

 

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ピンボール業界に従事するベテランエンジニア、ジャック・ガールニエリにより、2011年に設立されました。1975年に電気機械のピンボールマシンの修理業を行っていたガールニエリは、1999年にウェブサイト「ピンボールセールス」を立ち上げました。

 

最初に制作したのは、1939年の映画「オズの魔法使い」のピンボールマシンを、2013年にリリースしました。バックグラスに26インチのモニタを設置した新規格のピンボールマシンでした。その後、2016年にはファンタジー映画「ホビット」のピンボールを制作しています。

 

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3作目は「ダイアレグ・イン(2017年)」、4作目は「パイレーツ・オブ・カリビアン(2018年)」、5作目は「チャーリーとチョコレート工場(2019年)」、6作目は「ガンズ・アンド・ローゼズ(2020)」をリリースしています。

 

 

Led Zeppelin (Stern Pinball 2020)

みなさん、あけましておめでとうございます。

 

2年ぶりの更新になりますが、2022年からは週刊ペースで頑張っていこうと思います。

主にピンボールマシン、ピンボール関連のニュースを中心に取り上げます。

よろしくおねがいします。

 

今回紹介するピンボールマシーンは

スターン・ピンボールの「レッド・ツェッペリン」です。

70年代イギリスの伝説的ハードロックバンドのピンボールマシンが、

2020年12月にスターン・ピンボール社からリリースされました。

 

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収録されている曲はこちらの10曲です。

 

Good Times Bad Times
Whole Lotta Love
The Song Remains The Same
Rock And Roll
Trampled Under Foot
Ramble On
Kashmir
Immigrant Song
Black Dog
Communication Breakdown

 

Led Zeppelin」のピンボールマシンは「プロ」「プレミアム」「リミテッド」の3種類がリリースされています。外枠のデザインはそれぞれで異なったものになっています。

 

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日本では設置してある店舗は現状ではないようですが、いつかはやってみたいものですね。

STAR WARS (Stern Pinball 2017)

2019年12月20日から、アメリカのSF映画の金字塔「スター・ウォーズ」シリーズのエピソード9「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」が公開されてます。

 

スター・ウォーズピンボールマシンも過去にリリースされています。そのタイトルがこちら。

 

Empire Strikes Back (1980/Haskin)

Star Wars (Data East/1992)
Star Wars Trilogy (SEGA Pinball/1997)
Star Wars Episode I (Williams/1999)
Star Wars (Stern Pinball/2017)
Star Wars pin (Stern Pinball/2019)
Star Wars Comic Art (Stern Pinball/2019)

 

1980年にハスキン社が最初にリリース。90年代にウィリアムズ社とスターン社の前身であるデータイーストセガピンボールがリリースしています。

 

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www.youtube.com

最後のピンボールマシンから18年後になる2017年に、スターンから「STAR WARS」がリリース。大阪府心斎橋の「THE SILVER BALL PLANET」にも導入されている「Star Wars(Stern Pinball/2017)を取り上げます。

モデルは最も人気のエピソードである「Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ」を採用。本体に備わったディスプレイでは、劇中のムービーでの演出を展開しています。フィールドに設置されたタイファイター、デス・スターでの演出で、プレー中での気分を高揚させる仕様になっています。ジョン・ウイリアムスの音源を採用し、高低音が響く大迫力のサウンドを楽しめます。

メイキング動画

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ゲームプレイ

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日本語版ルールブック - Silverball Satellite

www.silverballsatellite.com

 

 

現代におけるピンボールの魅力を考える

20世紀前半からの歴史があり、60~70年代にはアメリカ、日本ではヒットしていたピンボール。80年代以後のビデオゲームの出現により、ピンボール産業は衰退の一途にたどっています。

 

更に家庭用ゲーム機の高性能化やオンラインゲームの台頭、スマホゲームの出現によって、ピンボールゲームを設置するアーケードゲーム業界も、ここ20年は落ち込みが激しくなっています。

アメリカでは復活の兆し

www.newsweekjapan.jp

 アメリカでも2000年代では、ピンボールメーカーがスターン社のみで、完全に消えかかっていました。しかし、2010年代に入り、ジャージー・ジャック・ピンボール、スプーキー・ピンボールなど新規参入も増えており、上記のリンクによると、2009年~2017年の間で、世界各地で行われている大会の数や参加者が約10倍に膨れ上がっており、ピンボール人気が回復しつつあるようです。

 

現代までの様々なゲーム同様、ピンボールも時代によって淘汰されていくものですが、愛好家を中心に人気を取り戻していく様は興味深いものです。日本は世間の流れにどうしても影響されやすく、愛好家同士で力を合わせても、ピンボールの魅力を伝えきれずに、どうしても「過去のもの」とされがちですが、アメリカは愛好家同士を力を合わせて、価値を伝えようとするのが上手いと感じるものです。

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ピンボールマップでは日本はほぼ真っ白ですが、アメリカは東海岸やシカゴを中心に多くの店で稼働しています。他はフランスを中心に欧州各国、オーストラリアの東海岸も多くの設置店舗があるようです。

いつになっても変わらないピンボールのアナログ的な魅力

 

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家庭用ゲーム機の高性能化、VRなどの新技術、オンラインゲーム、スマホゲームの台頭など、現在はゲーム業界も娯楽に恵まれており、メンテナンスの手間や設置面積の大きさ、そして1台で1種類のゲームしか遊べないなど短所が多いピンボールはどうしても淘汰されていくものと考えられます。

 

しかし、そのような欠点を補って余りある魅力がピンボールには詰まっています。

 

ピンボールとは、基本的には最下部にあるフリッパーを両サイドにあるボタンを押しながら、下に落ちないようにコントロールしながら、上にある仕掛けに目掛けて鉄球を弾き飛ばすといったシンプルなゲームです。

 

そして、フィールドの特定の場所にボールを入れると高得点となり、特定の条件を達成すると通常1つのボールでプレーするものが複数のボールでプレーする「マルチボール」を楽しむことができます。

 

家庭用ゲーム機やPC、スマホゲームにも数多くのピンボールゲームがあるように、シンプルながら奥が深く、ピンボールとはゲームとしての完成度が非常に高いと言えるでしょう。

 

ただ、実際のピンボールマシンでは、デジタル版では味わえない「ピンボール体験」を堪能することができます。重量感がある鉄球をフリッパーを駆使しながら、狙いのところへ次々と入れていくのは快感を覚えますし、逆に入らないと意地になってしまいます。2つのフリッパーを駆使しながらプレーするという単純な構造ながら、数多くのテクニックが存在し、場合によっては台を揺らして落下を防ぐという荒業も存在するのも一種の魅力と言えるでしょう。フリッパーや台を動かしながらプレーしていくと、次第に汗もかきやすくなってくるため、ゲームにしては非常に肉体的であり、スポーツに近い感覚を味わえるのも、ピンボールの魅力と言えるでしょう。

 

70年代のレトロなピンボールマシンでも、ド派手な演出が施された現在のピンボールマシンも、「重量感がある鉄球が動く迫力」「フリッパーを駆使しながらゲームを進める」「フリッパーや仕掛けのカチカチした音や質感」など、ピンボールの魅力は共通しており、いつの時代になっても変わらない普遍的価値が存在します。

 

時代の荒波に揉まれ、何度も業界が窮地に陥っても、熱心なファンの心を掴んで離さない魅力が、どの時代でも原動力になったのだと感じさせられます。

 

ピンボールは現在進行系である

www.youtube.com

大阪の心斎橋にある「SILVERBALL PLANET」では、最新のピンボールマシンが多く設置してあることから、今もなお新作が多くリリースされています。

 

ゲーム自体はフリッパーを駆使するだけのシンプルな構造ですが、20世紀前半に登場してから100年近く、時代の進化に適応しながら、数多くのゲームがこの世に送り出されてきました。現代の技術であるLED、高性能の音響機器を搭載した作品が次々と登場しており、ピンボールは他のレトロゲームとは違い、今の技術と合わせながら、常に進化しているジャンルといえるでしょう。

 

ピンボールはただノスタルジーに浸るための「レトロゲーム」と括るべきジャンルではないでしょう。「週刊マルチボール」では、日本でもピンボールが再び盛り上がっていくために少しでも力になれるよう、魅力の発信に努めていきたいと思います。

一つのマシンで5つのゲームが遊べる「The Multimorphic P3」

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2015年にピンボールマシーンの新規格「The Multimorphic P3」が発表されました。

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「5つのゲームが1つのピンボールマシーンで」をキャッチフレーズとして、世界初の「モジュラーマルチゲームピンボール」が登場しました。

フリッパーやレーンなどのピンボールのセットはそのままですが、プレーフィールドには液晶のモニターが組み合わさっており、ピンボールをTVゲームの感覚で遊べる仕様になっています。

ピンボールには「マシン1台で一つのゲームしか遊べない」という欠点があり、画面のアートワークが変われば、別のゲームを遊ぶことができます。更に別売りのモジュールを購入すれば、簡単な取り外しで違うゲームに入れ替わることもできます。

フリッパーやレーンといったアナログのピンボールと、綺麗に描かれたデジタルのグラフィックの融合。今後の発展が期待されます。

現存するピンボールメーカー

手探り状態ながらピンボール情報について更新していきます。

今回は「現存するピンボールメーカー」です。

 

スターン・ピンボール

sternpinball.com

日本語公式 http://www.sternpinball.jp/

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データイーストセガピンボールを経て、1999年に80年代のピンボールメーカー「スターンピンボール」のギャリー・スターンが買収し、現在に至る日本にルーツがあるピンボールメーカーです。ビデオゲームの台頭により、ピンボール業界の急激な衰退により、2000年代では一時期唯一存在するメーカーでした。映画やSFをモチーフとしたゲームが多くあります。

ジャージー・ジャック・ピンボール

www.jerseyjackpinball.com

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2013年に創設。世界からピンボールマシーンが消える状況を見かねた技術者、ジャック・グアルニエリ氏が「ピンボールマシーンが消えないように最高のマシーンを作ろう」と創設しました。「オズの魔法使い」「ホビット」「パイレーツ・オブ・カリビアン」などファンタジー作品を中心に制作しています。

 

スプーキー・ピンボール

www.spookypinball.com

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2013年に創設されたピンボールメーカー。2014年に「American Most Haunting」をリリース以降、ロブ・ゾンビアリス・クーパーなどアメリカのロックミュージシャンをモデルとした作品をリリースしている。

ダッチ・ピンボール

www.dutchpinball.com

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オランダのピンボールメーカー。アカデミー賞作品「ビッグ・リボウスキ」のピンボールゲームを制作しました。

シカゴ・ゲーミング

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 2013年に入ってからピンボール業界に進出したシカゴのゲーム会社。主に90年代にウィザード社が制作していたピンボールマシーンのリメイク版をリリースしているようです。

 

他にも小規模なピンボールメーカーはありますが、今回はここまで。

Jurassic Park Pinball (2019)

かなり久々に更新します。

もはや「週刊マルチボール」というタイトルに相応しくないですね。

今後は目標を「週刊」として頑張っていきたいと思います。

 

Jurassic Park Pinball 2019

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www.youtube.com

sternpinball.com

 

今年11月にリリースされたばかりの、スターンピンボール社の「ジュラシックパーク」。同名のタイトルは1993年にデータイーストから発売されていたが、昨年に映画「ジュラシック・ワールド」が上映されたことにより、スターン社から新作が発売されることになった。

 

「プロ」「プレミアム」「リミテッド」の3種類をリリース。「プレミアム」「リミテッド」には恐竜がボールを食べる、ボールを投げるといったアクションが施された、26年前の作品同様、ユニークなアトラクションが用意されている。