週刊マルチボール

ピンボール関係のメモです

現代におけるピンボールの魅力を考える

20世紀前半からの歴史があり、60~70年代にはアメリカ、日本ではヒットしていたピンボール。80年代以後のビデオゲームの出現により、ピンボール産業は衰退の一途にたどっています。

 

更に家庭用ゲーム機の高性能化やオンラインゲームの台頭、スマホゲームの出現によって、ピンボールゲームを設置するアーケードゲーム業界も、ここ20年は落ち込みが激しくなっています。

アメリカでは復活の兆し

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 アメリカでも2000年代では、ピンボールメーカーがスターン社のみで、完全に消えかかっていました。しかし、2010年代に入り、ジャージー・ジャック・ピンボール、スプーキー・ピンボールなど新規参入も増えており、上記のリンクによると、2009年~2017年の間で、世界各地で行われている大会の数や参加者が約10倍に膨れ上がっており、ピンボール人気が回復しつつあるようです。

 

現代までの様々なゲーム同様、ピンボールも時代によって淘汰されていくものですが、愛好家を中心に人気を取り戻していく様は興味深いものです。日本は世間の流れにどうしても影響されやすく、愛好家同士で力を合わせても、ピンボールの魅力を伝えきれずに、どうしても「過去のもの」とされがちですが、アメリカは愛好家同士を力を合わせて、価値を伝えようとするのが上手いと感じるものです。

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ピンボールマップでは日本はほぼ真っ白ですが、アメリカは東海岸やシカゴを中心に多くの店で稼働しています。他はフランスを中心に欧州各国、オーストラリアの東海岸も多くの設置店舗があるようです。

いつになっても変わらないピンボールのアナログ的な魅力

 

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家庭用ゲーム機の高性能化、VRなどの新技術、オンラインゲーム、スマホゲームの台頭など、現在はゲーム業界も娯楽に恵まれており、メンテナンスの手間や設置面積の大きさ、そして1台で1種類のゲームしか遊べないなど短所が多いピンボールはどうしても淘汰されていくものと考えられます。

 

しかし、そのような欠点を補って余りある魅力がピンボールには詰まっています。

 

ピンボールとは、基本的には最下部にあるフリッパーを両サイドにあるボタンを押しながら、下に落ちないようにコントロールしながら、上にある仕掛けに目掛けて鉄球を弾き飛ばすといったシンプルなゲームです。

 

そして、フィールドの特定の場所にボールを入れると高得点となり、特定の条件を達成すると通常1つのボールでプレーするものが複数のボールでプレーする「マルチボール」を楽しむことができます。

 

家庭用ゲーム機やPC、スマホゲームにも数多くのピンボールゲームがあるように、シンプルながら奥が深く、ピンボールとはゲームとしての完成度が非常に高いと言えるでしょう。

 

ただ、実際のピンボールマシンでは、デジタル版では味わえない「ピンボール体験」を堪能することができます。重量感がある鉄球をフリッパーを駆使しながら、狙いのところへ次々と入れていくのは快感を覚えますし、逆に入らないと意地になってしまいます。2つのフリッパーを駆使しながらプレーするという単純な構造ながら、数多くのテクニックが存在し、場合によっては台を揺らして落下を防ぐという荒業も存在するのも一種の魅力と言えるでしょう。フリッパーや台を動かしながらプレーしていくと、次第に汗もかきやすくなってくるため、ゲームにしては非常に肉体的であり、スポーツに近い感覚を味わえるのも、ピンボールの魅力と言えるでしょう。

 

70年代のレトロなピンボールマシンでも、ド派手な演出が施された現在のピンボールマシンも、「重量感がある鉄球が動く迫力」「フリッパーを駆使しながらゲームを進める」「フリッパーや仕掛けのカチカチした音や質感」など、ピンボールの魅力は共通しており、いつの時代になっても変わらない普遍的価値が存在します。

 

時代の荒波に揉まれ、何度も業界が窮地に陥っても、熱心なファンの心を掴んで離さない魅力が、どの時代でも原動力になったのだと感じさせられます。

 

ピンボールは現在進行系である

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大阪の心斎橋にある「SILVERBALL PLANET」では、最新のピンボールマシンが多く設置してあることから、今もなお新作が多くリリースされています。

 

ゲーム自体はフリッパーを駆使するだけのシンプルな構造ですが、20世紀前半に登場してから100年近く、時代の進化に適応しながら、数多くのゲームがこの世に送り出されてきました。現代の技術であるLED、高性能の音響機器を搭載した作品が次々と登場しており、ピンボールは他のレトロゲームとは違い、今の技術と合わせながら、常に進化しているジャンルといえるでしょう。

 

ピンボールはただノスタルジーに浸るための「レトロゲーム」と括るべきジャンルではないでしょう。「週刊マルチボール」では、日本でもピンボールが再び盛り上がっていくために少しでも力になれるよう、魅力の発信に努めていきたいと思います。